雑記

広告代理店コピーライターの仕事の流れ全部紹介します

広告代理店のクリエイティブ職になりたかった、就活生時代の自分が読んだらいいという視点でこの記事を書きました。

こんにちは。僕は、広告代理店(広告会社)のクリエイティブ部門に所属しております。

入社前と入社後で仕事に対するイメージに大きな違いはなかったのですが、入社前にはよくわかっていなかったコピーライターという仕事を、この記事を読んでくださっているコピーライターを目指している学生や社会人の方々にシェアしつつ、自分自身言語化して振り返りたいと思います。

コピーライターって何?

まず、中にいる自分としては「コピーライター」という言葉を、どれくらい一般の人が知っているのかはわかりません。

「ポスターとかに書かれているキャッチコピーなどを書いている人」というコピーライターからするともやっとした定義になってしまいますが、こう言えば何となくどんな仕事なのかは理解してもらえると思います。

1980年代には糸井重里さんなど有名で花形だったようですが、今は「コピーライターって何?」という人も多いのではないかなと思っています。

コピーライターの中でも、代理店所属(その中でも総合代理店、Web専業など別れている)、制作会社所属、もしくはフリーランスなど色々なレイヤーのコピーライターがいます。

今回は、自分が所属する広告代理店のコピーライターを中心に考えたいと思います。

最近は、広告代理店のクリエイティブ職種も多岐に渡っていますが、大きくは3種類あります。

コピーライターとCMプランナーとアートディレクターの説明

コピーライターは割とご想像の通り、新聞雑誌、テレビなどのマスメディアから、電車や街中に貼られるポスター、店頭POPなどのキャッチコピーや文章全般を考える仕事です。

新卒で入る場合も、特に専門性は問われず全学部全学科OKです。

CMプランナーも名前の通り、TVCMの企画、台詞回しなどを考え絵コンテ(漫画でいうネーム?)に落とし込みます。

制作進行まで行いますが、企画が通り制作の段階までいくとTVCMを演出・撮影・編集するCMディレクター(監督)と呼ばれる方がクリエイティブをより練り上げてくれます。

新卒で広告代理店CMプランナーになるには、主にコピーライターや稀にアートディレクターで入社した人の中から配属されるイメージです。

アートディレクターは、新卒でなる場合は専門性が問われるので、美術大学・芸術大学卒あるいは一般大の場合でも芸術系学科の出身であるケースがほとんどです。

仕事内容は、広告のビジュアルをデザインする人たちなのでイメージしやすいと思います。

会社にもよりますが、若手のうちはデザイナーとして働きアートディレクター(より監督する立場)になる会社と、はじめからアートディレクターの名刺を持つ会社があります。

代理店のコピーライターは、コピー業務のみをやるというより企画全般をします。CM含め。

仕事の流れ

前置きが長くなりましたが、ここから本題の「広告代理店コピーライターの仕事の流れ」です。

僕は、新卒でコピーライターになりたくて就活していたので勉強していたつもりでしたが、仕事の流れに関しては入社するまで、実際のところよくわかっていませんでした。

実際体験しないとピンとこないと思いますが、なんとなく流れを振り返りたいと思います。

また、今回は代理店のコピーライターの1日というよりは、新聞や雑誌などのグラフィックと呼ばれる紙の印刷物における一連の制作の流れからコピーライターの仕事を見ていきたいと思います。

この流れを理解しておくと、新卒で広告代理店を受ける時は、なぜ制作会社ではなく代理店のコピーライターなりたいのか答えが見えてきますし、その逆もまた然りです。

コピーライターの仕事の流れ

この図で見ると、企画・プランニングパートは本当に最初の最初だけですね。

新卒で入る前は、コピーライターの仕事ってプランニングパートがメインだろうと思っていたので、実際の業務はもっと多岐にわたっていたわけです。

(グラフィックにおいては制作パートも関わりはするけど、進行はアートディレクターなので指をくわえて見てるだけではありますが。ADは大変だ〜)

①オリエン

オリエンテーション、通称オリエンと呼ばれます。

クライアントから今回の広告で、どんな媒体で、どんなターゲットで、どんなコンセプトで進めていきたいのか考えをヒヤリングする場です。

クライアントが大企業でない限りは、宣伝部の体制が整っているわけではないので、オリエンの時点で、クライアントの考えがふわっとしていることも多いです。

②企画

オリエンを聞いて、メインのコンセプトを立て、どこを表現の主軸におくのか決める作業です。

以降の、コピーライティングやデザインを詰めていく作業はもちろん、制作すべてがここの企画をもとに進んでいくので、当然重要なパートになります。

代理店のクリエイティブとしては醍醐味の部分になります。時と場合によりますが、企画から制作会社のデザイナーさんに関わっていただくことも多いです。

この段階では、コピーライター(C)やアートディレクター(AD)・デザイナー(D)がたくさん考えたメインのコンセプトを、クリエイティブディレクター(CD)と呼ばれる統括・クリエイティブの責任者が方向をいくつかに絞ります。

2~3方向に絞ったとすると、そこから各方向のコピーやデザインを詰めて資料化します。

③プレゼン

企画段階で制作した資料を持って、クライアントにプレゼンに行きます。

競合コンペであってもなくても、ここまでのプロセスはほぼ同じです。

一発で決まれば良いですが、なかなかそう上手くもいかず、ここでクライアントからの戻しがあり、修正しながら企画をFIXして行くケースが多いです。

ここがなかなか決まらないと心が折れそうになります。

④撮影準備

企画がFIXすると、撮影準備に入ります。

CMの場合は制作パートのクリエイティブディレクションは、CM監督(CMディレクターとも)が行いますが、グラフィックの場合は代理店のアートディレクターがそのまま行います。

制作パートの進行のメインは、制作会社のプロデューサーというポジションの方に担っていただきます。

ハリウッドの映画界においては、パワハラが問題となっていましたが、それだけプロデューサーには力があって重要なポジションです。ハリウッドはどうやら世界観が違うようですが、すべての制作のタクトを振るいます。

⑤カメラマン/イラストレーター選定

アートディレクターと制作会社のプロデューサーで、クリエイティブの方向性や予算を考えつつ、カメラマン、イラストレーター、ライトマン(照明)などのスタッフをアサインします。

⑥衣装・ポーズ決定

カメラマンイラストレーター選定に引き続き、衣装はスタイリストやヘアメイクに発注します。

ポーズに関しては、スチール撮影(グラフィックの撮影)であればADが決めますが、CMであればプロの振付師さんがいて振り付けのディレクションをお願いすることになります。

カメラマン、ライトマン、スタイリストは、代理店のクリエイティブと制作スタッフみなさんが、まとめて打ち合わせを行う「オーススタッフミーティング」という場があるのがほとんどで、実際はまとめて行ったりします。

コピーライターは(というか制作パート全般で)参加必須ではないと思いますが、ボーっとしていても仕方ないので、せっかく参加したら何か二言三言は残したい感じです。

⑦PPM

④~⑥で撮影方法、光の当て方、(モデルがいる場合は)衣装、メイクなど各プロフェッショナルとアートディレクターが会話しながらブラッシュアップしました。

それと撮影時に慌てないように、撮影スケジュール(香盤表とよばれる)含め色々な要素を事前に準備して資料化しておきます。

その資料を持って撮影前最終確認をクライアントに行うのですが、それをPPM、資料をPPM資料と呼びます。プレプロダクションミーティングの略で、撮影前打ち合わせといったニュアンスです。

⑧撮影

ようやく撮影です。

アートディレクターはとにかく慌ただしいですが、コピーライターは正直ほとんどやることないのでノートパソコンを取り出して、いや私も色々他にやることありますから感を醸し出します。

⑨使用カット選定

撮影後に、アートディレクター、デザイナー、カメラマンなどが何百枚と撮った中で、ベストなショットをいくつかセレクトします。

コピーライターは、選んでいる後ろで「あ〜、そのカットいいよね、わかるわ〜」みたいな分かった感を出して、静かに頷きます。

⑩レタッチ

合成作業や色味調整、モデル特にタレントであれば肌調整などを、専門のレタッチャーが行います。

アートディレクターはレタッチャーの事務所に行って、直接もろもろの確認を行いますが、コピーライターは同行しないことが多いです。

11.入稿データ作成

写真のレタッチが済んで、最終デザインを調整したら、クライアントに最終確認をとります。

ここで、OKが出ると無事に入稿へ。仕様に沿ったデータをAdobe Illustratorなどで制作します。

12.入稿

11で制作したデータを印刷会社に渡して印刷します。

コピーライターは一応CCに入っていて回って来るメールを横目に、文字に間違いがないか文字校正を行なっておきます(ここだけではなく各段階で)。

12.初校

一度、印刷会社にデータを送れば終了ではなく、テストで印刷したものを印刷会社から送ってもらいます。

カラーチャートと見比べて、「もっと青みを上げる」などアートディレクターが印刷会社に戻します。

同時にクライアントにも、こういうふうに指示出ししましたと最終確認を行います。

13.再校

再度校正があがってきたのを確認し、いい感じですとなれば無事製版へ。

14.製版

新聞やポスターにしろ印刷数の多いものは、版をつくって印刷します。

ここまでくると僕もよくわかりません。すみません。で、印刷して無事納品という運びになっています。

めちゃめちゃ長くなりました。

もはや、コピーライターよりアートディレクター志望の人向けの内容になってしまっている気もしましたが、、、。

つまり、④以降は、コピーライターは各所でちょこちょこやることありつつも、メインは①〜③です。

代理店コピーライターなら、メインコンセプトや企画からコピー発想を絡めながら考えます。

アサインのされかたにもよりますが、制作会社のコピーライターは、コンセプトは決まっていてそこからいかに表現を磨いていくかという段階から入ることが多い印象です。もちろん企画から入ることもあると思います。

色々なコピーライター(名乗ったものがち)

コピーライターにも色々なレイヤーがいると書きましたが、特にフリーランスの方は自分で「コピーライター」という肩書きを名乗れば、その時点でコピーライターです。

その点で、会社を設立するのと同じく誰でも今日から「コピーライター」になることは可能です。コピーライターは名乗ったもの勝ちです。

広告代理店のコピーライターとは

コピーライターの中でも、会社所属でかつ広告代理店所属のコピーライターです。

広告代理店の中でも、クリテイティブ部署の人数比は概ね全体の1割くらいいます。

その中で大まかにコピー系アート系半分に振り分けると、コピーライターは広告代理店社員の約5%の人数です。

業務内容は、純粋なコピーライティングより多岐に渡ります。

上記のようにクライアントからのオリエンを受けて、何も決まってない時はどんな方法(媒体とか)で広告するか決めていき、制作物が決まっている場合も企画から始めます。

人によりますが、自分の場合は企画が固まってから本格的にコピーを書き始めて表現を探っていきます。

媒体としては、マスメディアや駅に貼られるポスターなどのキャッチコピー。

カタログのような文字数の多い媒体では自分で全部書くことは多くなく、メインのコンセプトやキャッチコピーは考えて、ボディコピーは協力会社さん(制作会社)のコピーライターにお願いする場合もあります。

企画する時間の方が多いので、実際コピー書いている時間は全体業務の2割以下という感覚です。

オリエンが来てから、最初の企画をやりたい人には、制作会社より代理店コピーライターが向いていると思います。

例えば、「メガネを広告するポスター」を考えてくださいというオリエンだったとします(実際は、こんな特徴のある製品で、ターゲットはこうとか細かいですが)。

そこで、コピーを書き始める前に、アートディレクターと一緒になって「軽いという特徴」とか「だれにでも似合う汎用的なデザイン性」だったり「いいことがあった日に着けよう」みたいな情緒的な価値を広告しよう、というように企画を始めます。

広告制作会社

自分が所属しているわけではないので、正確な情報でないことはご了承ください。

所属する制作会社によってもちろん内容は変わります。

大きく3パターン、クライアントか代理店の営業から直接受けた仕事と、広告代理店クリエイティブから受けた仕事クライアント直案件があります。

一つ目は、代理店コピーライターとあまり変わらない仕事内容だと思います。

二つ目は、決まっているコンセプトの中で、いかにいい表現を磨いていくかの観点でコピーを書きます。

三つ目は、比較的自由でいいですね。クライアントはいますが。

ぼくは、代理店のやつにごちゃごちゃ言われたくないので、直案件がいいな。

代理店から受けた文字数の多い紙媒体などでは、メインは代理店コピーライターが書いてボディコピーを担当するパターンもあると思います。

代理店コピーライターよりコピーを書く時間は多く、ボディコピーもたくさん書くので、純粋なコピー力はこちらの方がつくのでは、と思います。

コピーは、キャッチコピーよりボディコピーを書くことで鍛えられるものだと思いますし。

自分も、業務時間のうち企画や進行中心になってしまっていてコピーを磨く時間が少なく、コピー力が上がっている感じは正直できていません。

それも時間ないという言い訳みたいになってしまいますが。

企画からしたいなら代理店、書くことに集中したいなら制作会社のコピーライターを目指すというのもひとつ考え方です!

代理店だと悪くいうとごちゃごちゃ考えることが多いので、コピーだけ書きたい人はこちらの方がいいです。

フリーランス

フリーの場合名乗った時点でコピーライターではあるのですが、その分ピンキリです。

有名なフリーの方達は結局、有名代理店、制作会社、有名なコピーライターの個人事務所出身であるケースがほとんどです。

トップの中トップの人たちのギャラは例えば、キャッチコピー1本で100万円超えるなんて場合もあるそうですが、それだけいいコピーを世に発信する人たちです。

また、自分の場合、企画は自分がしてコピーの部分はフリーのコピーライターさんにお願いするという案件もあります。最初からフリーでやっていたなんて方もいらっしゃいます。

一方、SNSやブログや個人的繋がりを駆使して、フリーのコピーライターとして成功していくなんて方法も現代的で魅力的だと感じます(隣の芝生は青く見えます)。

普段マスメディアのコピーを書いている人たちは、ブログやSNSのコピーや文章はからっきしだと思いますし(今の自分)!

コピーライターになるためには

広告代理店のコピーライターになるためには、中途では必須、新卒でもマストではないですが「ポートフォリオ」と呼ばれる作品集があった方が良いと思います。

作品集には、当然作品が必要!作品を増やしていくためのヒントとして以下のような手があります。

コピーライター講座

宣伝会議が主催しているコピーライター養成講座基礎コースが一番有名です。

著名なコピーライターが毎回来てくれて15回ほど、書いて来たコピーを見てもらう機会があるので、そこで評価されたコピーは積極的に作品集に入れていきましょう。

コンペ

作品集に載せる作品を増やすという観点で言えば、宣伝会議賞というコンペが一番いいです。

1次審査、2次審査、3次審査、最終審査と順を追って審査してくれるので、入賞しなくても1次審査通過を目指すことで、いい作品を増やしやすいからです。

とはいえ、1次審査通過でも100本に1本という厳しい世界ではありますが。

宣伝会議賞

本を読む

表参道にある青山ブックセンターは、宣伝会議本社が近いことも関係あるのかはわかりませんが、広告コピー系の本の品揃えがいいので、近くに寄ったときなどのぞいてみるといいと思います。

博報堂出身の谷山雅計さんの本が一番有名でベーシックなのですが、最初の一冊には間違い無いと思います。

新卒で、広告会社のコピーライターになりたい方はこちらをご覧ください。

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まとめ

ここまで振り返ってみて、「代理店のコピーライターって、こんなか。こんなはずじゃなかった」みたいなミスマッチはほとんどないですが、実際の仕事内容は学生の自分が思っていたより多岐にわたっているなという印象でした。疲れます。

自分がググれてなかっただけかもしれませんが、中にいると常識のことでも意外と一般の学生とかは調べようがないなという印象です。

また、自分が広告代理店のコピーライターになれたのは、もちろん学生の頃にコピーライター養成講座に通ったりして準備はしていたものの、結局運の要素は大きかったのかなと思います。

なので、特に専門的な仕事ではなく、運とタイミングが合えば誰でも広告代理店のコピーライターになれると改めて思いました。

続いて、CMプランナー編よろしければご覧ください。

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